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くまもと9条の会は今年で7周年を迎えました
11月3日記念講演会に参加していただきありがとうございました




 思想のしずく・・・

小森陽一さんの著書の中にちりばめられた思想のエッセンスを集めました。

このぺーじにたどり着かれたみなさん、どうぞ思いおもいの「思想のしずく」をお寄せ下さい。

 「思想のしずく」へのご感想はこちらから

小森陽一さんの思想のしずく④

「ことばの力 平和の力」から

 






 ここに第二次世界大戦後の〈自然権〉をめぐる人間の認識の大事な到達点があるということを確認しておきたいと思います。 そういう大事な認識を歪め、解釈改憲のなかにすべてを組み込んでいく、そしてそのことに誰も責任を取らずに「あいまい」にされていく日本の現実がある。 一九五五年に憲法を改悪しようとしたものの、五六年の参議院で三分の二を取れなかったから解釈改憲で何もかも説明しようとする、そういう「あいまい」な言説があふれていた日本の現実のなかで『奇妙な仕事』は書かれました。 その同時代的な言葉の意味を、いまあらためて私たちは読みなおしてみる必要があると思います。
 『奇妙な仕事』には責任を取る人は一人も出てきません。残った八〇匹はどうするのでしょうか。 『奇妙な仕事』は、もはや生命の問題が生命の問題として扱われないような、一九五七年の無責任な日本社会に対する痛烈な批判になっています。(h.s)

小森陽一さんの思想のしずく③

「ことばの力 平和の力」から

 第一章 樋口一葉 宣戦布告の詔勅と女の眼〈希求〉という意味」

 原爆で亡くなった何十万の人びとの死、自国の戦争による三〇〇万人近い死者の死を、唯一の被爆者である日本国民は重くかつ深く受け止めるから、国連に加盟した国々のみなさんが実現しようとしている国際平和をみなさん以上に誠実に〈希求〉する。 だからこそ、みなさんがまだ放棄していない国権の発動たる戦争を私たちは放棄するのです。 国権の発動たる戦争を放棄するから、その道具である陸海空軍その他の戦力は持たない、国の交戦権は持たない、これが九条一項と二項の論理的なつながりです。(h.s)


小森陽一さんの思想のしずく②

「小田実&小森陽一 憲法9条を語る」 五月書房






 つまり、今この瞬間も九条はからだを張って、日本の平和だけではなくてロシアの平和も、中国の平和も、韓国の平和も、北朝鮮の平和も守っているんです。 いま私たちは本気で、軍事力によって世界を好き勝手にさせるような政治をこの世界からなくすために、この運動をやっているんです。 これは勝つための運動です。ともにがんばっていきましょう。(h.s)

小森陽一さんの思想のしずく①

「漱石を読みなおす」より







 「自己本位」の「個性」は、この世にかけがえのない、たった一つの「個性」です。 諸「個性」の差異は絶対的です。 この「個性」の差異は、国家や民族、様々な「文明」の在り方にもあてはまるはずです。 それはついに差異でしかなく、いかなる差別化をも拒むものです。 漱石の「自己本位」とは、この絶対的差異を生きぬくことであり、生きぬくことはまた、絶対的差異としての自己を差異化しつづけることなのです。(h.s)