第53回九州・山口近県集会 in 熊本
ご参加ありがとうございました

 第53回新日本歌人協会九州・山口近県集会に参加された皆さん、おかげさまでご好評のうちに無事終了することが出来ました。
 短歌の持つ力の新しい可能性をみんなで発見することができた近県集会になったのではと思います。
 実行委員一同、心より感謝申し上げます。
    九州・山口近県集会実行委員会委員長 國宗 黎


近県集会では講演会に120名、歌会48名の歌人が参加しました

 5月12-13日に新日本歌人協会第53回九州山口近県集会IN熊本を開催しました。第一日目は阿蘇在住の歌人・清田由井子氏による「表現者への回帰」記念講演で始まり、一般参加を含めて会場いっぱいの120名が参加。洪水のように氾濫する現代短歌を深く考察し、短歌の原点とは何か、私たち歌人が表現者として三十一文字に託す文学とは何か、縦横無尽に歌人の作品を取り上げた講演がとても素晴らしく、用意したレジュメが足りなくなるほどでした。講演会のアンケートも今までにない多くの数が寄せられ、今まで疑問に思っていたことへの答えが詰まっており、これからの作歌への大きな励みとなったなど、嬉しい感想が多くありました。講演会参加者の6割はまったくつながりのなかった人々でした。講演会場では熊本在住のエッチング作家東弘治氏の作品を展示、繊細なタッチで現代社会を鋭くとらえた作品に多くの人が見入っていました。

講演会終了後、江津湖コースと水前寺公園コースに分かれて吟行会をしましたが、市内中心部にこんな素敵な公園があることに、県外からの参加者から感嘆の声が上がっていました。午後6時からの交流会では、各県に「短歌にまつわる出し物」を事前に依頼していたこともあり、楽しくて有意義な交流会なったと思います。

8時半から別会場にて「夜なべ談義・即詠歌合評会」を開きましたが、30名を超える人が参加しました。当日の吟行会で詠まれた30首を超える即詠歌について、喧々諤々の熱気盛んな合評が繰り広げられました。熊本での近県集会は即詠合評会を前々回、前回に続き伝統的に即詠会を開いています。

二日目は歌会参加者48名を3グループに分かれて2時間の合評会を開きました。Aグループは講師の清田由井子氏、Bグループは山口支部の松野さと江さん、Bグループは熊本支部の寺内實さんに助言者として参加していただきました。

互選で最も得点が多かったのは一般参加の東美和子さんの歌で、同時に「清田由井子賞」も受賞しました。

たまさかに蹴りし小石の音かるく春風と行く白いスニーカー 東美和子

集会終了後は国立ハンセン病隔離施設である菊池恵楓園を訪ねるオプショナルツアーを企画しました呼びかけが、予想に反して30名を超える人が参加、数グループに分かれて実際の施設を見学しました。ここも、強制隔離することを定めた「らい予防法」によって人権を無視した隔離政策が長らく続きました。療養所の中で津田治子氏ら、自らの血の滲むような心情を歌った素晴らしい歌人を多く生んでいます。家に帰りたいと脱出を試みた子供までもが監禁されたという監禁室には、板壁監禁された日数を刻んだ生々しい跡が残っていて、胸が熱くなりました。ボランティアガイドさんの丁寧で熱心な説明にはただただ感謝です。

参加された皆様、ありがとうございました。


大好評だった「表現者への回帰」清田由井子氏の記念講演


東弘治エッチング展も同時開催


江津湖で吟行会

歌会(写真はAグループ)

講評及び閉会式。2020年は山口支部が担当されます。

国立ハンセン病施設の患恵楓園を見学しました